おのみち -測定依頼所-は、子どもたちのみらいを守るため、生産者の方のみらいを守るために立ち上げた食品等の放射能測定に関する依頼所です。

測定結果にかかる注意点について

「CSKシステムで観測されるU238、Th232系列ガンマ線一覧」

本測定器で測定中によく見る天然核種及び定量対象のセシウムについてご説明いたします。（keVとはエネルギーを示しています。）

各天然核種
[鉛]
Pb212　：239keV
Pb214　：242keV、295keV、352keV

[タリウム]
Ti208　：511keV、583keV、861keV

[ビスマス]
Bi212　：727keV
Bi214　：609keV

[アクチニウム]
Ac228　：911keV、965+969keV

[カリウム]
K40　　：1461keV


人工核種
[セシウム]
Cs134　：605keV、796+802keV
Cs137　：662keV

○ビスマス214によるセシウム134の誤検出について
ビスマス214は、セシウム134のエネルギーである605keVに近く、当測定器でもあるNaIシンチレーション式の検出器では、ビスマス214なのかセシウム134なのか分解できません。
そこで、どちらかを確定するために、セシウム134のもう1つのエネルギーである796+802keVを確認します。
このエネルギーでのピークが確認できない場合、ビスマス214の検出と判断します。
ソフトウェアではこのあたりの定量が非常に困難なため、スペクトルをきちんと読み取る力が必要になってきます。


○セシウム134とセシウム137の比率について
セシウム134の半減期は約2年、セシウム137の半減期は約30年と言われています。
半減期とは半分の量になるために必要な期間です。
3.11の原発事故によるセシウム134と137の放出量は1：1と言われており、あの事故からちょうど2年が経とうとしている現在、セシウム134と137の比率は約0.6：1と言われています。
この比率は、3.11原発事故由来のものであるかの目安となっており、比率がおかしい場合は誤検出が疑われるところです。
なお、セシウム137だけの検出となることは、過去の大気圏内核実験の影響等で有りうることを申し添えておきます。


○コンプトン散乱について
NaIシンチレーション式等の検出器において、コンプトン散乱という現象が存在します。
これは、エネルギーの高いものが検出された場合、エネルギーの低い方に散乱して何度も検出してしまうものです。
よく見られるのが、カリウム40によるコンプトン散乱です。
カリウム40のエネルギーは1461keVであり、1461keVより小さいエネルギーに対して、何度も反射し検出されてしまいます。
そこで、各測定器のソフトウェアには、コンプトン散乱による影響を軽減し再計算する機能が備わってはいますが、完璧なものはなく誤検出される場合があります。
この場合においても、スペクトルを確認していくことにより誤検出を避けることが可能となります。


○解析精度について
解析精度とは、測定結果の信頼度です。信頼度を下げると検出下限値を下げることができますが、本来はカウントしなければならない放射線をカウントせずに出てくる値が低くなってしまう等問題も出てきます。
当方の結果でよく使っているのが「3σ」です。こちらの信頼度は99.7％となっています。（ソフトウェア上）
当方の解析精度には「1σ、2σ、3σ、10σ」の4種類あり、その信頼度はそれぞれ、「68.3％、95.4％、99.7％、99.9％」です。
全国の市民測定所でよく用いられているのが、解析精度2σの信頼度95.4％と、解析精度3σの信頼度99.7％です。
当依頼所では3σの99.7％を基本に測定を行っています。
結果をより確実なものにするためには10σで行う方が望ましいですが、ソフトウェアではじき出したものであるため、スペクトルでの確認が絶対に必要です。


○不等号の意味について
結果の中で「＜」の不等号を使用しています。これは、「＜1.0」の場合、1.0Bq/kgまで見ましたが不検出でしたと、解析精度に基づいてソフトウェア上ではじき出した数値です。
結果の確定には、スペクトルを見たり又はクロスチェック（ゲルマニウム測定等）を行う必要がありますので、参考程度にとどめておきます。

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結果一覧

平成25年9月7日より、

「みんなのデータサイト」

にて情報を公開中です。

おのみち -測定依頼所-の測定員のブログにて公開したものから掲載しております。

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